GATSとは?

 

GATSとは、サービスの貿易に関する一般協定(General Agreement on Trade in Services)の略で、WTO協定付属書1Bにあたります。サービス貿易に関する、初めての多国間協定とされるGATSは、ウルグアイ・ラウンド交渉の結果締結され、1995年に発効しました。

 

★GATSの対象

GATSは、国際通商に関連するすべてのサービスを対象としています。GATSは、規制対象とするサービスを、以下の4つに分類しています。

第一は、「越境取引(cross-border supply)といわれる、ある国から他国へ提供されるサービスです。国際電話などが、この分類に含められます。

第二は、「国外消費(consumption abroad)といわれる、他国で利用されるサービスです。旅行サービスなどが、この分類に含められます。

第三は、「商業拠点(commercial presence)といわれる、他国での商業拠点を通じたサービスです。銀行の支店設置などが、この分類に含められます。

第四は、「人の移動(presence of natural persons)といわれる、個人が移動して自ら提供するサービスです。ファッション・モデルやコンサルタントなどが、この分類に含められます。

 サービス貿易の4態様(外務省ホームページ)
 
★GATSの基本原則

  GATSは、これまでの、モノに関する協定(GATT)の原則を基本的には受けつぎつつも、GATSに特徴的な点も多くあります。

  GATSの基本原則には、次のような7つのものがあります。


1.最恵国待遇
(Most-favored-nation treatment)

  加盟国は、すべての国に対して同等の待遇を与えることが、求められています(第2条)

  ただし、この原則には重要な例外があります。GATS発効前に、サービスに関して他国に特恵を与える協定を締結していた場合、一定の要件を満たし、免除分野を登録をすれば、このような特恵待遇は、最恵国待遇原則から免除されます。ただし、この免除は、原則として協定発効後10年間に限られ、また、協定発効後、免除分野を拡大することはできません。

  最恵国待遇には、このほかにも政府調達(13)などに関し、最恵国待遇原則の例外が認められています(57)


2.内国民待遇
(National Treatment)

  内国民待遇とは、自国民と外国民に、同等の待遇を与えなくてはならない、という原則ですが、GATSにおける内国民待遇原則は、モノに関する協定(GATT)や知的財産権に関する協定(TRIPS協定)とは大きく異なります(17)

  GATSにおいては、具体的な約束(specific commitment)を行った場合にのみ、内国民待遇原則が課せられます(GATTにおいては、具体的な約束をしなくとも、内国民待遇原則を守らなくてはなりません)。さらに、具体的な約束をする場合、その約束に留保をつけることもできます。たとえば、自国の銀行には支店の数を制限しない一方で、外国銀行が設置できる支店の数を制限する、といった、内国民待遇の例外を設けることができます。

  内国民待遇を与える分野や、その例外については、国別の約束表に列挙しなくてはなりません。


3.市場開放に関する約束(Countries’ commitments: on market-opening)

  特別な約束を行った場合にのみ拘束される、という構造は、内国民待遇に限られたものではありません。加盟国は、特別な約束を行った分野のみ、外国に市場アクセスを確保しなくてはなりません。また、特別な約束を行う際、市場アクセスに例外を設けることができます(16)。たとえば、外国銀行の市場アクセスを認める一方で、外国銀行の参入数を制限することができます。

  市場アクセスに関する約束や、その例外は、国別の約束表に明記しなくてはなりません。

4.透明性(Transparency)

  加盟国は、GATSに関連するすべての法、規則を公開し、改正があれば、WTOに通告しなくてはなりません。また、他国からの要請がある場合に協定に関連する情報を提供するため、照会所を設けることが求められています(3)


5.国内規制
(Regulations)

  国内規制は、間接的に、サービス貿易に大きな影響を与えるおそれがあります。GATSは、特別な約束を行った分野に関連する国内規制は、合理的、客観的かつ公平に行わなくてはならない、と規定しています。また、行政上の決定を、客観的かつ公平に審査する機関を設けなくてはなりません(6)


6.承認
(Recognition)

  加盟国が、サービス提供に関する資格や免許などの相互承認協定を締結する際は、当該相互承認協定に加えられていないWTO加盟国にも、当該協定の交渉や加入の機会を与えなくてはなりません。また、このような相互承認協定は、差別的なものであってはなりません(7)


7.国際支払及び送金
(International payments and transfers)

  特別な約束を行った分野に関しては、原則として、供給されたサービスに対する国際支払や送金を制限することはできません(11)

 

★GATSの分野別交渉

  非常に多様なサービスに対応するため、ウルグアイ・ラウンド交渉後も、分野別に自由化交渉が進められています。以下は、個別交渉が行われている(若しくは終了した)分野の一部です。

      人の移動(1995年7月28日交渉終結)

      金融サービス(1995年12月13日交渉終結)

      電気通信(テレコム)(1997年2月15日交渉終結)

      航空運送サービス

      海運

 ※GATSのしくみ(まとめ)の組織図もご参考ください。


GATSに関連するWTO紛争処理案件(2000年12月13日現在)

No. 案件 被申立国 申立国 GATS関連規定(条文数をクリックすると、各条の題目が表示されます) その他の関連規定 備考
1条 2条 3条 4条 6条 8条 16条 17条 18条
204 テレコムサービス関連措置 メキシコ 米国 - - - - - テレコム合意 協議
201 ホンデュラスとコロンビアからの輸入に関する措置 ニカラグア ホンデュラス - - - - - - - GATT§1,2 協議
142 自動車産業関連措置 カナダ EC - - - - - - GATT §1.1, 3.4, 24
TRIMs
§2
補助金協定
§3
DS139と併合
139 自動車産業関連措置 カナダ 日本 - - - - - - GATT§1.1, 3.4, 24
TRIMs
§2
補助金協定§3
上級委員会報告
117 フィルム流通サービス関連措置 カナダ EC - - - - - - -   協議
80 商業用電話帳サービス ベルギー 米国 - - - - - 非違反申立 協議
45 流通サービス関連措置 日本 米国 - - - - - - - 非違反申立 協議
38 キューバ自由民主化法 米国 EC - - - - GATT §1, 3,5,11, 13
非違反申立
目的阻害申立
協議終了
27 バナナ輸入制限 EC エクアドル
グアテマラ
ホンデュラス
メキシコ
米国
- - - - - GATT 1,2,3,10, 11,13
輸入ライセンス協定
農業協定
TRIMs
上級委員会報告


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