WT/DS238/R

14 February 2003

Argentina – Definitive Safeguard Measure on Imports of Preserved Peach

   Complaint by Chile

Report of the Panel

 

<目次>

案件

申立国

被申立国

参加第三国

パネリスト

主たる関連協定

経緯

事実関係

パネル決定の分析

1.先決問題

2.予見されなかった発展

3.輸入の増加

4.重大な損害のおそれ

5.その他

パネルの結論及び勧告

 

poki_b01案件

桃缶に係るセーフガード措置

 

poki_b01申立国

チリ

 

poki_b01被申立国

アルゼンチン

 

poki_b01参加第三国

EC、パラグアイ、米国

 

poki_b01パネリスト

Ms. Elaine Feldman (Chairperson)

Mr. Jorge Castro Bernieri

Mr. Mate Diego-Fernandez

 

poki_b01主たる関連協定

セーフガード協定(セーフガードに関する協定; Agreement on Safeguards)、1994年のGATT(千九百九十四年の関税及び貿易に関する一般協定; General Agreement on Tariffs and Trade

 

poki_b01経緯

2001年 9月14日 協議要請

2001年12月 6日 パネル設置要請

2002年 1月18日 パネル設置

2003年 2月14日 パネル報告

2003年 4月15日 パネル報告採択

 

poki_a01事実関係

月日

事項

2000年11月27日

セーフガード(以下、SG)調査開始申請

産品:桃缶

申請者:CAFIM(Argentine Chamber of Industrial Fruit Production of Mendoza)

2001年1月2日

暫定的セーフガード発動のための損害認定

2001年1月5日

因果関係の認定。調査開始と暫定的セーフガード発動決定

2001年1月12日

決議ME(Ministry of the Economy)No.39

セーフガード調査開始、暫定的セーフガード措置発動

2001年1月15日

調査開始と暫定的措置についてWTOに通報

2001年3月20日

調査に関する公聴会

2001年7月2日

セーフガード最終決定

2001年7月17日

最終決定についてWTOに通報

2001年8月7日

決議No.348/2001

 確定的セーフガード措置発動

 

poki_a01パネル決定の分析()内の数字は段落番号)

1.先決問題(Preliminary matters)

パネルは、審査基準や立証責任について、これまでの慣例を確認した(7.1-.9)

 

2.予見されなかった発展(Unforeseen developments)

 チリは、アルゼンチン当局が予見されなかった発展を認定しなかったとして、1994年のGATT19.1条(a)違反を主張した(7.10)

 パネルは次のように述べて、GATT19.1条(a)違反を認めた。@GATT19.1条(a)によれば、当局はセーフガード措置発動前に、予見されなかった発展があり、またそのような発展の結果輸入が増加していることを認定しなくてはならない(7.12-.18)、Aアルゼンチン当局は、発展のひとつとして世界在庫量の拡大を挙げているが、当局の文書が世界在庫について触れている箇所には、当事者のさまざまな意見を列記したものと断り書きがあり、当局の見解を示したものとみなすことはできない(7.20-.21)、Bその他の発展(世界生産量の上昇とそれに伴う価格の下落)についても、なぜそのような発展が「予見されなかった発展」とみなしうるのかについて説明してない(7.23-.24)、C発展は、義務が課されたとき、つまりウルグアイ・ラウンド交渉時に予見されていなかったものでなければならないが、アルゼンチン当局は発展がウルグアイ・ラウンド交渉時に予見されていたか否かを検討していない(7.25-.29)、Dアルゼンチン当局は、結論部で「これは予見されなかった発展という文脈において生じている(this is occurring in a context of unforeseen developments)」という一文を挿入しているが、これのみでは事実の証明とはいえない(7.32-.34)

 

3.輸入の増加

 チリは、輸入の増加に関してアルゼンチンは1994年のGATT19.1条(a)、セーフガード協定2.1条、4.2条(a)に違反していると主張した(7.37)

 パネルは、次のように述べて、輸入の絶対量の増加について、アルゼンチンはセーフガード協定4.2条(a)および2.1条に違反したと認めた。@アルゼンチンは、輸入の絶対量の増加については、1996年から2000年までのデータを集め、また1998年を基準年として増加を認定している(7.41, .45)、A輸入の増加が直近で急激な(recent and sharp)なものかについて、アルゼンチン当局が検討したという証拠がない(7.53)、B輸入の増加は量的な調査のみならず、質的な調査も行わなくてはならず、その点当局は調査期間全体の傾向を検討しなくてはならないが、アルゼンチン当局は理由を十分に示さずに1998年以降に絞って分析を行っている(7.54-.68)

 パネルはまた、輸入の相対量の増加についても、アルゼンチンはセーフガード協定2.1条の要件を満たしていないと認めた。@アルゼンチンは、輸入の相対量の増加については1997年から2000年のデータを集めていた(7.41)、Aアルゼンチン当局は、基準年をいつにするか、なぜ輸入の相対量の増加があるとみなしうるのかについて検討しておらず、また調査期間全体の傾向も踏まえていない(7.74-.78)

 以上よりパネルは、アルゼンチンが輸入の増加の認定について1994年のGATT19.1条(a)、セーフガード協定2.1条、4.2条(a)に違反したと結論した。

 

4.重大な損害のおそれ

チリは、重大な損害のおそれに関してアルゼンチンが1994年のGATT19.1条(a)、セーフガード協定2条、4.1条(a)、4.2条(b)に違反したと主張した(7.83)

 パネルは、次のように述べて、アルゼンチンの1994年のGATT19.1条(a)、セーフガード協定2.1条、4.1条(b)、4.2条(a)違反を認めた。@当局は、少なくともセーフガード協定4.2条に明示的に列挙されている要因をすべて検討して重大な損害のおそれを認定しなくてはならないが、アルゼンチン当局は、操業度について、データを集めたのみでデータの評価をしていない(7.97-.99)、A当局は、理由を示さずに、1999年あるいは2000年に絞って分析を行っており、調査期間全体の傾向を考慮したとはいえず、損害認定について根拠に基づく適切な説明(Reasoned and adequate explanation)を行っていない(7.102-.111)、B1996年以降のデータを見ると、1999年あるいは2000年の国内産業の状況は、1998年以前の状態へ戻ったにすぎないと説明しうるが、アルゼンチン当局はこのような説明の妥当性を検討していない(7.112-.116)、C重大な損害のおそれとは、「明らかに差し迫った(clearly imminent)」重大な損害でなければならないが、アルゼンチン当局は重大な損害の可能性(possibility)に言及するのみで、どの程度の可能性なのかについて検討してない(7.122)、Cなお、チリは、アルゼンチンが「可能性が希薄なもの(remote possibility)」に基づく認定を禁止しているセーフガード協定4.1条(b)に違反したとも主張しており、実際アルゼンチン当局は、生産・輸入の量や価格が2000年と同じであるかそれより悪化する可能性に基づいて損害のおそれを認定しているが、この可能性が「希薄なもの」とまではいえない(7.125-.131)

 

5.その他

 パネルは、訴訟経済を考慮して、セーフガード協定2.1条および4.2条(b)、3条、5.1条、12.2条に関する申立を検討しなかった(7.141)

 

poki_a01パネルの結論及び勧告

 以上より、パネルは、アルゼンチンの桃缶セーフガード措置について、次の違反を認定する。

(a) 予見されなかった発展についての1994年のGATT19.1条(a)違反

(b) 輸入の増加についての1994年のGATT19.1条(a)、セーフガード協定2.1条および4.2条(a)違反

(c) 重大な損害のおそれ(関係を有するすべての要因の考慮、適切な理由を含む説明、明らかに差し迫った重大な損害)についての1994年のGATT19.1条(a)、セーフガード協定2.1条、4.1条(b)および4.2条(a)違反

 パネルは、「可能性が希薄なもの」に基づく認定についてのセーフガード協定2.1条および4.1条(b)違反は認めない。

 

パネルは、DSU(紛争解決了解)3.8条に基づき、アルゼンチンのセーフガード協定および1994年のGATT違反により、チリの協定上の利益が無効化・侵害されたと結論する。

 パネルは、DSB(紛争解決機関)がアルゼンチンに対して桃缶に関する措置を協定整合的となるよう是正することを求めるよう勧告する。

 

 

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