WT/DS268/AB/RW
12 April 2007
United States – Sunset Reviews of
Anti-Dumping Measures on Oil Country Tubular Goods
Recourse to Article 21.5 of the
DSU by Argentina
Report of the Appellate Body
<目次>
油井管ADサンセット・レビュー
上訴・被上訴国
米国
被上訴・上訴国
アルゼンチン
中国、EC、日本、韓国、メキシコ
Yasuhei Taniguchi (Presiding Member)
Merit E. Janow
David Unterhalter
アンチダンピング協定(千九百九十四年の関税及び貿易に関する一般協定第六条の実施に関する協定; Agreement on Implementation of Article VI of the General
Agreement on Tariffs and Trade 1994)、DSU(紛争解決に係る規則及び手続に関する了解;
Understanding on Rules and Procedures Governing the Settlement of Disputes)
2004年12月17日 パネル・上級委員会報告(オリジナル)採択
2006年 1月26日 21.5条手続要請
2006年 3月17日 パネル付託
2006年11月30日 パネル報告
2007年 4月12日 上級委員会報告
2007年 5月11日 パネル・上級委員会報告採択
※パネル報告については、パネル報告分析を参考にしてください。
※事実関係については、パネル報告分析を参考にしてください。
1.修正ウェイバー規定(Amended Waiver Provisions)
上級委員会は、次のような理由で、(米国関税法751条(c)(4)(A)及び米国商務省規則351.218条(d)(2)と共に運用される)米国関税法751条(c)(4)(B)が依然としてアンチダンピング協定11.3条に違反しているとのパネル認定を破棄した。@過去の事例において述べたように、アンチダンピング協定11.3条は一定の条件を満たさない限りアンチダンピング措置を5年以内に撤廃することを義務付けており、同規定のサンセット・レビューにおいて調査当局は、実証的な証拠に基づく理由のある結論を導き出すために、受け身ではなく積極的な役割を果たさなければならない(102-105)、A修正ウェイバー規定が、明示的ウェイバーのみを認め、かつ明示的ウェイバーを行う輸出企業がダンピングを継続する旨の書面を提出しなければならなくなったという事実について、両当事国間の争いはない。問題は、明示的ウェイバーについてアンチダンピング協定11.3条違反が依然として認められるか否かである。この点、輸出企業が提出するダンピングを継続する旨の書面は、実証的な証拠であり理由のある根拠を提供するものであり(clearly constitutes positive evidence and provides a reasoned
basis)、こうした書面に基づく決定は以前の推測(assumptions)に基づく決定と大きく異なっている。さらに、ウェイバーの行使が自発的に行われる点にも留意しなければならない(106-113)、B次に、企業ごとに行われる明示的ウェイバーと措置命令全体に対するダンピングの可能性の決定との関係であるが(relationship of [the company-specific findings] with the
order-wide determination)、まず上述したように明示的ウェイバーに関する決定が実証的な証拠に基づいて行われていることに留意する。さらに、措置命令全体に対する決定を行うに当たって、商務省はダンピングを継続する旨の書面のみならず他の証拠も考慮に入れなければならず、前者の書面のみが措置命令全体に対する決定の結論を左右しているとは証明されていない(114-121)。
2.米国商務省の輸入量についての認定(USDOC’s Finding on Import Volumes)
上級委員会は、次のような理由で、商務省の輸入量分析をDSB勧告を実施するためにとられた措置の一部と位置付け、その違法性を認めたパネル認定を支持した。@DSU21.5条の「実施するためにとられた措置」が何かは、最終的にはDSU21.5条パネルが決めるべき事柄であるが、決定は慎重に行わなければならない。また、「実施するためにとられた措置」とDSBの勧告及び裁定との間には明確な関連(express link)がなければならない(138-142)、A本件においてオリジナル・パネルはダンピングの可能性の決定がWTO協定に違反したと認定したが、その認定は輸入量に関する決定とは別の点(措置発動中のダンピングの可能性の決定)のWTO協定適合性を問題とするものであった。輸入量に関する決定のWTO協定適合性については判断する必要がないとされたわけだが、理由が何であれダンピングの可能性に関しては違法であるとの結論が示されていることに留意しなければならない(143)、Bオリジナル手続における認定を受けて、米国商務省は「(商務省の)可能性の決定に関するパネル認定に対処するため」ウルグアイ・ラウンド法129条に基づく手続きを開始した。そして、措置発動中のダンピングの可能性(likely dumping during the time the anti-dumping duty order was in
place)と措置発動後の輸入量の双方を根拠としてダンピングの可能性に関する129条決定を下していることから、2つの根拠は密接に関連しており(closely linked)、輸入量に関する商務省の決定も「実施するためにとられた措置」の一部とみなすことができる(144-147)、C米国は、EC – Bed Linen上級委報告に依拠しながら輸入量の決定についてはDSB勧告が行われていないので「実施するためにとられた措置」とは言えないと主張している。しかし、EC – Bed Linenと異なり、輸入量の決定はダンピングの可能性に関する決定の一部であるし、またEC – Bed Linenと異なり、申立国はオリジナル手続の中で違法性を立証(made out a prima facie
case)できなかった訳ではない(148)、D米国はまた、Bの立場をとると、(i)オリジナル手続で違法性が認定されなかった措置についても、被申立国はオリジナル手続で違法と判断されていたかもしれないと推測せざるを得なくなる(the United States is placed in the position “to guess that the panel might have thought there were
WTO-inconsistencies”)、(ii)また、DSU21.5条手続きで初めて違法性が判断されるようなことがあれば、実施のための期間が十分確保できない、と主張している。しかし、本件オリジナル手続では米国のダンピングの可能性が適切な事実に基づいていないと認定していることから、米国商務省は輸入量の分析がWTO協定適合的であると推測できなかった(the USDOC could not assume that its findings regarding the alleged
decline in the volume of imports were WTO-consistent)。また、米国はオリジナル手続の後実施のための「妥当な期間」を与えられている(149-150)、E以上の認定は、DSB勧告の速やかな遵守を促す(promote the prompt compliance with DSB recommendations)というDSU21.5条の目的にも合致している(151)。
3.新たに根拠とされた証拠(New Evidentiary Basis)
上級委員会は、次のような理由で、ウルグアイ・ラウンド法129条手続きの中で商務省が新たな証拠を用いたことに問題はないとのパネル認定を支持した。@アンチダンピング協定11.3条及び11.4条によれば、原則としてアンチダンピング措置は5年以内に撤廃しなければならず、例外的に延長しうるかどうかを決定するサンセット・レビューは措置発動の5年以内に開始し開始後12カ月以内に終了しなければならない(161-163)、Aアルゼンチンは、アンチダンピング協定11.3条に規定されるサンセット・レビューの期限に関する義務を根拠に、サンセット・レビューをやり直す際に当初のサンセット・レビューで用いた証拠を再検討することは可能であるが、新たな証拠を用いることは認められないと主張している。しかし、アンチダンピング協定11.3条、11.4条、6条は、DSB勧告の実施のための証拠の収集について何も規定していないし、当初からあった証拠についてさらなる説明を加えること(clarifying information, or providing further explanations)と新たな証拠を集めること(to
gather additional information and develop some new facts)とを区別していない(164-168)、Bアルゼンチンは、その主張の根拠として、2つの仮説例(被申立国が期限内にサンセット・レビューを開始しなかった場合と、開始したが期限内に完了しなかった場合)を挙げているが、いずれの例も本件の事実関係とは異なり参考にならない。さらにアルゼンチンは、新たな証拠を用いることを認めれば、アンチダンピング協定11.3条に定められたアンチダンピング措置の発動期間の制限が意味をなさなくなると主張しているが、本件で問題となっている新たな証拠の問題と11.3条の期限の問題は関連する問題ではない。また、パネルがDSU11条に基づき適切にアンチダンピング協定11.3条及び11.4条を解釈していないとのアルゼンチンの主張も認められない(169-172)、CDSU19条は、DSB勧告の実施方法は違反措置の撤廃だけではなく新たな情報の収集も含むことを示唆している(173)、D本件は、オリジナルの手続でサンセット・レビューが協定違反と認定された後にアンチダンピング措置を維持しつづける根拠があるのか(on what basis may an anti-dumping duty order be maintained after a
sunset determination has been found to be inconsistent with Article 11.3 or
11.4 of the Anti-Dumping Agreement)、といったシステミックな問題も含んでいるが、アルゼンチンの上訴に含まれる論点ではなく、上級委員会はこの点について検討しない(174)。
4.アルゼンチンによる提案の要請(Argentina’s Request for a Suggestion)
アルゼンチンは、パネルが十分な検討をせずにDSU19.1提案を行わないと決定したことについてDSU11条と12.7条の違反を主張するとともに、上級委員会にDSU19.1条に基づく提案を行うことを求めていた。
上級委員会は、次のような理由で、アルゼンチンの求めを退けた。@DSU19.1条の提案は裁量的なものであり、なぜ提案を行わないかについてよりパネルは詳しく説明することが望ましかったとはいえ、提案をしなかったことが不適切であったもしくはDSU11条や12.7条に違反したとは言えない(183)、A本件は、サンセット・レビューが協定違反と認定された場合のDSB勧告及び裁定の実施に関連するシステミックな問題を絡んでいるが、上級委員会の審査の対象には含まれない(184)。
以上より、上級委員会は次のように結論する。
(a) (米国関税法751条(c)(4)(A)及び米国商務省規則351.218条(d)(2)と共に運用される)米国関税法751条(c)(4)(B)が依然としてアンチダンピング協定11.3条に違反しているとのパネル認定を破棄する。この点についてパネルがDSU11条に違反したか否かは判断する必要がない。
(b) DSU21.5条パネルが商務省の輸入量分析を審査の対象としたことは妥当であり、輸入量分析の違法性認定も支持する。
(c) ウルグアイ・ラウンド法129条手続きの中で商務省が新たな証拠を用いたことに問題はないとのパネル認定を支持するとともに、この点についてパネルはDSU11条に違反していないと認める。
(d) パネルがDSU19.1条の提案を行わなかったことがDSU11条及び12.7条に違反しているとのアルゼンチンの主張を退ける。
上級委員会は、DSB(紛争解決機関)が米国に対し、DSB勧告及び裁定を完全に実施するよう求めることを勧告する。
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