WT/DS295/AB/R
29 November 2005
Mexico – Definitive Anti-Dumping
Measures on Beef and Rice
Report of the Appellate Body
<目次>
1.DSU6.2条
4.外国貿易法
メキシコの牛肉及びコメに対するアンチダンピング措置
メキシコ
被上訴国
米国
中国、EC、トルコ
John Lockhart (Presiding Member)
Georges Abi-Saab
Yasuhei Taniguchi
アンチダンピング協定(千九百九十四年の関税及び貿易に関する一般協定第六条の実施に関する協定; Agreement on Implementation of Article VI of the General
Agreement on Tariffs and Trade 1994)、補助金協定(補助金及び相殺措置に関する協定; Agreement
on Subsidies and Countervailing Measures)、DSU(紛争解決に係る規則及び手続に関する了解;
Understanding on Rules and Procedures Governing the Settlement of Disputes)
2003年 6月16日 協議要請
2003年 9月19日 パネル設置要請
2003年11月 7日 パネル設置
2005年 6月 6日 パネル報告
2005年11月29日 上級委員会報告
2005年12月20日 パネル・上級委員会報告採択
※パネル報告については、パネル報告分析を参考にしてください。
※事実関係については、パネル報告分析を参考にしてください。
1.DSU6.2条(Article 6.2 of the DSU)
上級委員会は、次のように述べて、DSU6.2条に関するパネル認定を支持した。@DSU4.4条と6.2条はともに「法的根拠(legal basis)」すなわち申立(claims)について規定しているが、協議要請の申立とパネル設置要請の申立が同一である必要はない。協議には、情報を交換することにより紛争の概要を明らかにするという意義が期待されていることからも、問題となっている措置や法的根拠について、本質部分に変化がない限り、協議要請とパネル設置要請とが同一である必要はない(135-138)、A本件においてメキシコは、米国の13の申立(協定規定)について協議要請とパネル設置要請が異なると主張しているが、13のうち4つについて、パネルは訴訟経済の観点から判断しておらず、また両当事国も上訴していないことから、これらについて上級委員会も判断しない。また、残りの9については、協議要請からパネル設置要請へ至る過程で法的根拠が発展してきた(naturally/reasonably evolved)とみなすことができ、また本質部分は変わっていないことから、パネルの審査対象とすることができる(139-144)。
2.調査当局の損害認定(Economía's Injury Determination)
調査対象期間と付託事項(The Period of Investigation and the Terms of
Reference)
上級委員会は、次のように述べて、調査対象期間についてのパネルの判断は付託事項を超えるものではないと認めた。@メキシコは、米国が調査対象期間設定のアンチダンピング協定5.1条違反を主張していたにもかかわらず、パネルは米国の主張と異なる論拠で調査対象期間設定の違法性を判断しており,パネルの付託事項に反していると主張している(151)、Aしかし米国はアンチダンピング協定5.1条違反を主張しておらず、パネルも5.1条適合性については判断していない。米国は、5.1条をダンピング調査の目的に関する米国の主張を支持する論拠として挙げているにすぎない(152-155)、Bパネルは、当事国の挙げている論拠にのみ基づいてリーズニングを行う義務はない(156)。
調査対象期間の設定と実証的な証拠(The Use of Period
of Investigation Ending in August 1999 and the Criterion of Positive Evidence)
上級委員会は、次のように述べて、1999年8月に終了する調査対象期間を設置したことをアンチダンピング協定3.1条、3.2条、3.4条、3.5条に違反するとしたパネルの認定を支持した。@パネルが述べたとおり、決定すべき問題に関連しない証拠は「実証的な証拠」とは言えない(evidence that is not relevant or pertinent to the issue to be
decided is not “positive evidence”)し、関連性があるか否かは、調査が行われる時点でのダンピング損害に関連している証拠か否かによって判断しなければならない(relevance or pertinence must be assessed with respect to the
existence of injury caused by dumping at the time the investigation takes
place)。このことは、過去のデータに依拠して調査を行うことを排除するものではないが、より最近のデータを用いることが望ましいことを示唆している(165-166)、Aパネルは、時間的なギャップがある調査対象期間を用いること自体が常に3.1条違反であると判断したわけではなく、その他の事情も考慮したうえで、本件においてはメキシコ当局の用いた情報が実証的な証拠として認められないと一応証明されたと述べているし、メキシコは一応の立証に対して反駁を行っていない(167-168)、Bパネルは、アンチダンピング委員会の勧告を指針として用いたに過ぎず、メキシコが主張しているようにこれに依拠して結論を下したわけではない(169)、Cメキシコは、アンチダンピング協定17.6条に基づきメキシコの解釈は認められるべきとも主張しているが、本件においてはアンチダンピング協定規定の解釈が問題となっていたわけではない(170-171)。
調査対象期間の限定(The March-August Period)
上級委員会は、次のように述べて、調査対象期間を一部の月に限定したことをアンチダンピング協定3.1条及び3.5条に違反するとしたパネルの認定を支持した。@パネルは一部の月に限定することを一律に協定違反と認定したわけではなく、その他の事情も考慮した上で、本件においてはメキシコの用いたデータが「正確で公平な状況(accurate and unbiased picture)」を明らかにするものではないことが一応証明されたと述べているし、これに対してメキシコは有効な反駁を行っていない(180-182)、Aパネルは、なぜ一部の月に限定しなければならないのかメキシコが十分な説明を行っていないと認定しており、この認定は十分な根拠に基づくものであった(183-188)。
ダンピング輸入の量と価格に与える影響(The Volume and
Price Effect of the Dumped Imports)
上級委員会は、次のように述べて、ダンピング輸入の量と価格に与える影響について実証的な証拠に基づき客観的な検討を行うというアンチダンピング協定3.1条及び3.2条の義務にメキシコが違反したとのパネル認定を支持した。@パネルが述べたとおり、アンチダンピング協定3.1条及び3.2条によれば、ダンピング輸入の量と価格に与える影響についての決定は実証的な証拠に基づいていなければならない(201-202)、A本件においてメキシコは、いくつかの推測(assumptions)に基づいて認定を行っている。推測を行うこと自体がアンチダンピング協定3.1条や3.2条で禁止されているわけではないが、推測は根拠に基づくものでなければならず、メキシコはその推測の根拠を示していない(203-205)。
3.調査当局のダンピング認定(Economía's Dumping Determination)
Farmers
RiceとRicelandへのアンチダンピング措置適用(The Application of the Anti-Dumping Measure
to Farmers Rice and Riceland)
上級委員会は、次のように述べて、調査対象期間にダンピングをしていないと認定された2社(Farmers Rice、Riceland)をアンチダンピング措置の対象から除外しなかったことをアンチダンピング協定5.8条違反としたパネル認定を支持した。@アンチダンピング協定5.8条は、メキシコが主張するような国ごとの(country-wide)ダンピングの価格差に言及しているのではなく、パネルが認定したとおり個々の(individual)輸出者又は生産者のダンピングの価格差に言及しているのであり、ダンピングの価格差がゼロまたはデミニミスと認定された輸出者又は生産者については調査を終了しなければならない(215-217)、A調査を終了するということはすなわちアンチダンピング措置の対象から除外することを意味し、Farmers RiceとRicelandを措置の対象としたメキシコ調査当局はアンチダンピング協定5.8条の義務に違反している(219)。
Producers
Riceのダンピングの価格差と付託事項(The Margin of Dumping for Producers Rice and the Terms of
Reference)
上級委員会は、次のように述べて、Producers Riceのダンピングの価格差についてパネルが(附属書Uパラ7を踏まえて解釈されるところの)アンチダンピング協定6.8条に違反していると認定したことについて、付託事項の違反はないと認めた。@本件パネル設置要請はアンチダンピング協定9.4条とともに6.8条及び附属書Uパラ1、3、5、6、7にも言及しており、パネルはこれらの規定にメキシコが違反していないか審査する管轄権を有していた(228-230)、Aメキシコは、米国が本論点についてアンチダンピング協定9.4条に基づく申立しか行っていなかったと主張しているが、実際には米国は9.4条に基づく申立に加えて、6.8条及び附属書Uに基づく申立も行っており、さらに書面の中でこれらの申立についての論拠を提示している(231-232)。
調査の対象とされなかった輸出者のダンピングの価格差(The Margin of
Dumping for the Exporters Not Investigated)
上級委員会は、メキシコが調査の対象とされなかった輸出者のダンピングの価格差をファクツ・アベイラブルに基づいて計算したことについてのパネル認定に対し、次のように述べた。@パネルは、アンチダンピング協定12.1条の「調査当局に知られている利害関係を有する(その他の)者」について、実際に調査当局に知られていた輸出者のみならず、合理的に知り得た輸出者も含めて調査開始の通知をしなければならないと認定したが、これは正確な解釈でなく、同条は実際に調査当局に知られていた輸出者へ通知することを義務付けているにとどまる。本件においてメキシコ調査当局に知られていた輸出者は2社(Producers Rice、Riceland)のみであり、当局はこれらに調査開始を通知している。また、アンチダンピング協定6.1条も実際に調査当局に知られていた輸出者に情報を通知することを義務付けているにとどまり、合理的に知り得た輸出者にも情報を通知しなければならないとしたパネル認定は誤りである。本件においてメキシコ調査当局に(調査開始後)知られていた輸出者は4社であり、当局はこれらに情報を通知している。以上よりメキシコがアンチダンピング協定6.1条及び12.1条に違反したとのパネル認定を破棄する(245-253)、Aパネルは、アンチダンピング協定6.10条についても、合理的に知り得た輸出者又は生産者に対して個別のダンピング価格差を計算することを義務付けていると解釈しているが、そのような解釈は正確でなく、調査当局が実際に知らなかった輸出者又は生産者に対して個別のダンピング価格差を計算することは義務付けられていない。この点、メキシコ調査当局は実際に認知していた4社については個別のダンピング価格差を計算しているので、メキシコがアンチダンピング協定6.10条に違反したとのパネル認定を破棄する(254-257)、Bアンチダンピング協定6.8条について、附属書Uパラ1第2文は調査当局がファクツ・アベイラブル利用の可能性を利害関係者が認識するよう確保することを義務付けており、ある輸出者についてファクツ・アベイラブルを用いる前にはその輸出者が調査当局に情報を提供する機会を確保しなければならない(an exporter shall be given the opportunity to provide the
information required by the investigating authority before the latter resorts
to facts available that can be adverse to the exporter’s interests)。言い換えれば、調査当局が求めている情報について通知されていない輸出者に対してファクツ・アベイラブルを用いることはアンチダンピング協定附属書Uパラ1及びアンチダンピング協定6.8条の違反となる。本件において、調査当局は調査の対象とされなかった輸出者について通知を行わないままファクツ・アベイラブルを利用していることから、この点についてメキシコのアンチダンピング協定附属書Uパラ1及び6.8条違反を認めたパネル認定を支持する。なお、メキシコは、アンチダンピング協定6.1.1条の注によれば輸出加盟国が輸出者に調査に関して認知させる義務を負うと主張しているが、そのような解釈は認められない(258-263)。
4.外国貿易法(The Foreign Trade Act)
先決的問題(Preliminary Issues)
上級委員会は、先決的問題について次のように述べた。@メキシコは、米国の外国貿易法の解釈は誤りであり、外国貿易法の違法性について米国は一応の証明(prima facie case)を行っていないと主張しているが、パネルが認めたとおり、米国の外国貿易法の解釈は根拠に基づくものである。また、メキシコは、パネル段階においては米国の外国貿易法解釈の妥当性について争っていなかった。したがって米国が一応の証明を行ったとのパネル認定は誤りでない(267-270)、Aメキシコは、外国貿易法2条を踏まえて外国貿易法を解釈すれば、当局は外国貿易法をWTO協定適合的に適用する裁量を有しているにもかかわらずパネルがこれを無視したと主張しているが、パネルは外国貿易法2条を考慮に入れたうえで外国貿易法関連規定を義務的な措置とみなしている。なお、メキシコの主張は本来DSU11条の問題として審査すべき問題であるが、メキシコはDSU11条に関する上訴を行っていないので、上級委員会はこの点について審査しない(271-275)。
53条(Article 53)
上級委員会は、次のように述べて、外国貿易法53条そのものがアンチダンピング協定6.1.1条及び補助金協定12.1.1条に違反しているとのパネル認定を支持した。@アンチダンピング協定6.1.1条及び補助金協定12.1.1条は、アンチダンピング調査開始申請で言及されていた輸出者及び生産者のみならず、すべての輸出者及び生産者に少なくとも30日間の質問状回答期間を与えることを調査当局に義務付けている(279-280)、Aただ、メキシコが指摘している通り、調査の終盤に質問状への回答を希望する輸出者又は生産者が現れる場合もあり得、そのような場合には、アンチダンピング協定に規定されている調査期間についての義務に照らして、回答期間を短くすることが必要となる。しかしこのことは、調査開始時に知られていた輸出者又は生産者のみにしか30日間の回答期間が認められないということを意味しない(281-282)、B外国貿易法53条は、回答期間を調査開始公告から28日間と一律に定めており、一部の輸出者に対して30日間の回答期間を確保していない(283)。
64条(Article 64)
上級委員会は、次のように述べて、外国貿易法64条そのものがアンチダンピング協定6.8条及び附属書Uパラ1、3、5、7と補助金協定12.7条に違反しているとのパネル認定を支持した。@アンチダンピング協定6.8条及び附属書Uパラ1、3、5、7は、必要な情報を提供しなかった利害関係者に対して調査当局はファクツ・アベイラブルを用いることができると規定しているが、ファクツ・アベイラブルを利用するためには利害関係者がその旨を認知していなければならない。また、調査当局が用いることのできるファクツ・アベイラブルは、「入手可能な最善の情報」でなければならないし、二次的情報を用いる場合には調査当局はその信頼性や正確性について審査しなければならない(287-289)、A補助金協定12.7条も、文言はアンチダンピング協定と異なるものの、適正手続き(due process obligation)の観点から、利害関係者から提出された情報(仮にそれが完全なものでなくとも)を考慮に入れることを調査当局に義務付けていると解すべきである。また、ファクツ・アベイラブルの利用は、利害関係者が提出しなかった情報に合理的に代替しうると解されるもの(二次的情報も含む)に限られる(290-295)、B外国貿易法64条は、利害関係者から提出された情報を考慮することや(not on its face permit the agency to use any information that might be provided
by a foreign producer or exporter, even if incomplelete, where the use of such
information would result in a margin lower than the highest facts available
margin)、最善の情報を利用することを妨げ(Nor does it allow the agency to engage in
the “evaluative, comparative assessment”
necessary in order to determine which facts are “best” to fill in the missing
information. )、最も高いダンピングの価格差を導き出すファクツ・アベイラブルを用いることを義務付けている(requires Economía to use those facts necessary to arrive at the
highest margin that can be calculated, even if those facts, although
“substantiated”, might be deemed unreliable by the agency after exercising
“special circumspection”.)(296-298)。
68条(Article 68)
上級委員会は、外国貿易法68条そのものについてのパネル認定に対し、次のように述べた。@アンチダンピング協定5.8条と補助金協定11.9条は、ダンピングの価格差がデミニミスを超えない輸出者に対しての調査を終了し措置の対象から除外することを義務付けており、この点についてのパネルの解釈は正確であった。また、パネルの述べた通り、アンチダンピング協定5.8条と補助金協定11.9条の「論理的帰結」として、ダンピングの価格差がデミニミスを超えないと認定された輸出者に対して見直しの対象とすることは認められない。外国貿易法68条そのものは、マージンがないか僅少である輸出者に対しても見直しを行うことを調査当局に義務付けており、アンチダンピング協定5.8条と補助金協定11.9条に違反しているとのパネル認定を支持する(303-307)、Aアンチダンピング協定9.3.2条は、アンチダンピング税の額を予測して確定する方法(prospective system)をとる加盟国(メキシコも含む)に対し、実際のダンピングの価格差を超えるアンチダンピング税の還付を義務付けており、還付について同条に規定されている以外の要件を課すことは認められない。アンチダンピング協定11.2条や補助金協定21.2条も、規定される条件が満たされる場合には見直しを行うことを調査当局に義務付けており、条件が満たされているにもかかわらず見直しの実施を拒否することは認められない。したがって、代表性要件を課している外国貿易法68条そのものは、アンチダンピング協定9.3条及び11.2条と補助金協定21.2条に違反しているとのパネル認定を支持する(311-16)。
89条D(Article 89D)
上級委員会は、アンチダンピング協定9.5条と補助金協定19.3条は、規定される条件が満たされる場合には新規供給者に対して迅速な見直しを行うことを調査当局に義務付けており、代表性要件を満たす場合にのみ新規供給者に対する迅速な見直しを行うことを認めている外国貿易法89条Dそのものがアンチダンピング協定9.5条と補助金協定19.3条に違反しているとのパネル認定を支持した(321-324)。
93条V(Article 93V)
上級委員会は、パネルが外国貿易法の英語翻訳(メキシコのWTO通報)に基づいて行った93条Vの評価は妥当であり、DSU11条に違反していないと認めた(329-330)。
68条及び97条(Articles 68 and 97)
上級委員会は、外国貿易法68条及び97条そのものについてのパネル認定に対し、次のように述べた。@メキシコは、外国貿易法68条及び97条の協定適合性について、米国が一応の証明を行っていない(failed to make a prima facie case)と主張している。しかし過去の上級委員会報告によれば、申立国の提示する証拠や論拠が、問題とされている措置やその意味を十分に明らかにし、関連するWTO規定と義務を特定し、また措置が当該WTO規定に違反する根拠を説明していれば一応の証明は成立する(The evidence and arguments underlying a prima facie case ... must be sufficient
to identify the challenged measure and its basic import, identify the relevant
WTO provision and obligation contained therein, and explain the basis for the
claimed inconsistency of the measure with that provision.)と述べており、本件における米国の主張は一応の証明を行っていると認められる(332-338)、Aアンチダンピング協定9.3条及び11.2条と補助金協定21.2条は、規定される条件が満たされる場合に見直しを行うことを調査当局に義務付けている。外国貿易法68条及び97条がこれら協定規定の条件に合致しているか否かを判断するためには、どの時点でアンチダンピング措置あるいは補助金相殺措置が「確定的(definitive)」となるのかを決定しなければならないが、上記協定規定などを踏まえると、調査当局が最終クロ決定を行い措置を発動した時点で当該措置は「確定的」となると解される。外国貿易法68条及び97条は、司法審査の対象となっている措置について見直しを行うことを禁じており、これにより「確定的」な措置が見直しの対象とならない場合もあり得ることから、外国貿易法68条及び97条そのものがアンチダンピング協定9.3.2条及び11.2条と補助金協定21.2条に違反しているとのパネル認定を支持する(341-49)。
以上より、上級委員会は次のように結論する。
(a) 米国のパネル設置要請の申立の一部は、協議要請と一致していないにもかかわらずパネル審査の対象に含まれるとのパネル認定を支持する。
(b) メキシコ調査当局の損害認定について、
(i)
パネルが調査対象期間設定についてアンチダンピング協定3.1条、3.2条、3.4条、3.5条違反を認定したことは付託事項に反しない。
(ii)
1999年8月に終了する調査対象期間を利用したことによりメキシコはアンチダンピング協定3.1条、3.2条、3.4条、3.5条に違反したとのパネル認定を支持する。
(iii)
調査対象期間を一部の月に限定したことによりメキシコはアンチダンピング協定3.1条及び3.5条に違反したとのパネル認定を支持する。
(iv)
ダンピング輸入の量及び価格に与える影響の分析についてメキシコはアンチダンピング協定3.1条及び3.2条に違反したとのパネル認定を支持する。
(c) メキシコ調査当局のダンピング認定について、
(i)
Farmers RiceとRicelandについて調査を終了しなかったことによりメキシコはアンチダンピング協定5.8条に違反したとのパネル認定を支持する。
(ii)
パネルがファクツ・アベイラブルの利用についてアンチダンピング協定6.8条及び附属書Uパラ7違反を認定したことは付託事項に反しない。
(iii)
調査の対象とされなかった輸出者に通知を行わなかったことについてメキシコがアンチダンピング協定6.1条、6.10条、12.1条に違反したとのパネル認定を破棄する。
(iv)
調査の対象とされなかった輸出者に対してファクツ・アベイラブルを用いてダンピングの価格差を計算したことにより、メキシコはアンチダンピング協定6.8条及び附属書Uパラ1に違反したとのパネル認定を支持する。
(d) 外国貿易法の規定について、
(i)
外国貿易法の規定の違法性について一応の証明がなされているとのパネルの判断は誤りでないと認める。
(ii)
外国貿易法の義務的性質を判断するに当たってパネルは外国貿易法2条を考慮に入れていたと認める。
(iii)
外国貿易法53条そのものがアンチダンピング協定6.1.1条と補助金協定12.1.1条に違反しているとのパネル認定を支持する。
(iv)
外国貿易法64条そのものがアンチダンピング協定6.8条及び附属書Uパラ1、3、5、7と補助金協定21.7条に違反しているとのパネル認定を支持する。
(v)
外国貿易法68条そのものがアンチダンピング協定5.8条、9.3条、11.2条と補助金協定11.9条及び21.2条に違反しているとのパネル認定を支持する。
(vi)
外国貿易法89条Dそのものがアンチダンピング協定9.5条と補助金協定19.3条に違反しているとのパネル認定を支持する。
(vii)